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旅するスパイスキッチン

エジプトの優しさ、モロヘイヤスープ

2014/06/02 20:15 晩ごはん 旅行・お出かけ


モロヘイヤ・スープの故郷、エジプトは私の大好きな国の一つ。

古代から変わらないと思われる美しいナイルに浮かぶ白い帆船、濃緑のサトウキビ畑を行き交う白い民族衣装の農夫、ピンク色に染まる朝日に浮かぶナツメヤシの陰、精密なモザイク細工を施されたモスク達。。。

それよりも何よりも、人懐こくてジョーク好きで陽気なエジプト人の性格が、とっても心地よかった。


カイロ空港に降り立ち、入国審査でパスポートを渡した瞬間。。。

「君は結婚してるの?」

職員が、私のパスポートを手に真顔で聞く。

なんで入国に際してそんな事を聞かれるのか訝しみながら、いいえ・・・と答えると

「独身?ホント?じゃーボクと結婚する?!イエスって言わないとパスポート返さない!」

と、一変していたずらっぽい笑顔を浮かべる職員。。。


一歩国に入った瞬間からコレだから、その後の10日間の滞在もずっとこんな調子。

カイロの街を歩けば、5分に一回くらいの割合で見知らぬ人が

「ジャパン?」

と出身を訊ねてくるので、ハイ、と答えると

「おー、ジャパン!ヴェリーグッド!! 」

とナゼか褒めてくれて、ちょっと気のきいた人だと

「エジプトにようこそ!」

とか気持ちのイイ言葉を残して、サッと去っていくのだ。

・・・それだけを言うために話しかけてくる人が、3~5分に一回www


世界遺産の古代の神殿やピラミッドなどの観光地に行けば、社会科見学(?)で来ている地元の高校生やら大学生が習いたての英語で話しかけてきて、私達と一緒に写真を撮るために行列までできる始末。

世界遺産より人気者になれる場所!


地下鉄で降りるべき駅を隣の人に聞いたら、私の降りる駅に電車が着いた瞬間、車両内の全員が「ココだよ!!」と身振り&顔の表情&大きい声で教えてくれるわ。。。(私がコソッと隣の人に聞いたの、みんな耳ダンボでしっかり聞いてたらしい 笑)


夜行列車のコンパートメントで座席がダブルブッキングされてしまっていた時など、エジプト人のおじさん3人が私達(2人)に席を譲ってくれ、自分たちはなんと2人は床、一人は小さな椅子で寝てくれることになった。

夜中に気配がして目が覚めると、おじさんの一人が上着を脱いで、私達が寒くないようにとかけてくれている所だった。

朝になると熱々のシャーイ(紅茶)を食堂車から持って来てくれて、おじさん達の故郷から持って来たオリーブやパン、チーズ、ピクルスなどを分けてもらって楽しい朝食をした。


ツアーで旅行した人たちは、観光ズレした商人たちにウンザリしてエジプト人にひどく悪い印象を持って帰ることが多いらしい。

でも私達は幸運なことに、こんな風に優しくて温かくて、好奇心と親切心のかたまりのエジプト人達から、エジプト滞在中の毎日ほっこり心が温かくなるような素晴らしい想い出を沢山もらうことができた。



さて、そんなエジプトで旅行中お世話になって食べてたのはタアメーヤ(又はファラフェル)と呼ばれる豆コロッケをピタパンに挟んだサンドイッチや、コシャリと呼ばれるパスタ&豆&米の混ぜご飯など、屋台で食べられるB級グルメ。




でもなぜだか、モロヘイヤ・スープの置いてある店には出くわさなかった。

カイロ滞在も最後になった夜、私と友人は奮発して、ナイル河に浮かぶ船の形をした高級レストランに行ってみた。

レストランの入り口のメニューを見ても、ここにもモロヘイヤ・スープは無いみたい。入り口でモタモタしていたら、店の給仕2人がドアを開けて声をかけてきた。

「モロヘイヤ・スープは無いの?」

と聞くと。。。

いきなり大爆笑する給仕!

・・・な、なんで?なんか変なこと言った?

まだ止まらない笑いを抑えながら、給仕は

「君はモロヘイヤが食べたいの?!」

と聞く。

「食べたいの。どこにも食べられる場所が見つからなくて」

そう言うと、給仕は私達を店に招き入れて、

「テーブルでお茶を飲んでいて。シェフに、特別にモロヘイヤを作れるか聞いてくるから」

と請合ってくれた。

生演奏のアラブ音楽が流れる広いホールの先のテーブルで待っていると、ふたたび給仕がやってきて

「シェフが、あなた達のために特別にモロヘイヤを作りますって」

と言う。

しばらくすると、大きな器にたっぷりと入れられた熱々のモロヘイヤが運ばれてきた。隣には、これまた、たっぷりとバターピラフ。

日本では単品で飲むイメージのモロヘイヤ・スープだけど、現地ではバターピラフにかけたり、ピラフを中に入れておじや状にして食べるそう。

喜んで食べていると給仕が、特別にモロヘイヤを作ってくれたシェフをテーブルに呼んできてくれた。

お礼を言うと、シェフは嬉しそうに笑って

「これは、僕のお母さんがいつも作ってくれた味なんだよ」

と話してくれた。


なるほど。

モロヘイヤ・スープは、レストランでわざわざ注文して食べるものではなくて、お茶漬けのように家庭で食べる気軽な料理なのだ。

だから、あまりレストランでは置いてなかったし、それを高級レストランで注文した私達は給仕達から見て可笑しかったという訳だ。

それでも、最後の最後までこうやってフレンドリーに温かく接してくれたエジプトの人々が、やっぱり大好きだなぁと心から思いながら、ナイル河ごしのカイロの夜景を眺めたのだった。




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